平成の記録を振り返る6回目は、個人打撃ランキング編です。平成で最も本塁打を打ったのは476本の金本(阪神)で、同選手は安打と打点も1位になりました。昭和は王(巨人)が本塁打と打点の2冠でしたが、平成は金本が「3冠」を獲得しました。

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平成後半は野手もメジャーへ挑戦。日米通算ではイチローが4367安打、松井秀喜が507本塁打、1649打点を記録したが、平成の日本球界では2539安打、476本塁打、1521打点の金本(阪神)が3部門で1位となった。金本は1992年(平4)に広島へ入団。29歳の97年に初めて30本塁打、36歳の04年に初めて100打点を突破した遅咲きの選手。40歳を迎えた08年4月3日以降に544安打、80本塁打、297打点を記録し、44歳までプレーして平成3冠に輝いた。仮に、42歳で引退していたならば安打は3位、本塁打は2位となり、打点しかトップに立てなかった。

平成の主要打撃4部門のベスト10
平成の主要打撃4部門のベスト10

金本の通算打率は2割8分5厘で、こちらは20位にも入れなかった。金本ができなかった安打、本塁打、打点、打率の4部門で10傑入りを達成しそうなのが小笠原(中日)。本塁打と打点は現在10位ぎりぎりだが、平成終了までに小笠原を抜きそうな現役選手はいない。昭和時代にこの4部門で10傑入りは張本(ロッテ)と長嶋(巨人)がいたが、平成は小笠原だけだ。

プロ野球のリーグ戦は36年に始まった。期間は昭和(36~88年)より平成が20年以上短いのに、シーズン150安打、シーズン100打点以上の人数は平成が多く、その他の項目も差はない。平成の30年間は打者が有利の時代だった。500本塁打は出なかったものの、全体的に打撃レベルが高かった平成の主役は金本と小笠原になる。

球史に名を残した打者のほとんどが昭和か平成のランキングに名前があるが、両方にない大物がいる。79年にロッテへ入団した落合だ。ロッテと中日でプレーした昭和は1229安打、302本塁打。3球団に在籍の平成は1142安打、208本塁打をマークした。昭和時代に1000安打は153人、平成時代に1000安打は122人いるが、両元号で1000安打は落合だけ。両元号で200本塁打も落合しかやっていない。落合はセ、パ両リーグ1000安打、両リーグ200本塁打も達成しており、リーグ、時代をまたにかけて活躍した唯一の選手といえるだろう。

現在、1000安打以上の現役は24人、200本塁打以上は6人いる。この中から、落合のように次の元号でも1000安打、200本塁打を打つ選手が誕生するか、楽しみにしたい。【伊藤友一】