宝塚歌劇団をめぐる一つのニュースがこのほど、一部テレビで報じられました。それはタカラジェンヌを育成する宝塚音楽学校の受験者数に関するものでした。関係者によると、24年の受験者数は、過去最低だった23年の612人を下回り、過去最低を更新したことが分かったという内容でしたが、そこには具体的な受験者の数は明記されていませんでした。

宝塚では例年、合格者発表の時に受験者数などを公表しており、今年の合格発表は27日です。その5日前に報じたわけですが、そこにニュース性はあまり感じませんでした。というのも、ここ数年はコロナ禍もあって、受験者は減少傾向でした。20年こそ852人でしたが、21年は697人、22年は692人、23年は612人と減っており、過去最低を更新することはある程度、予測できたからです。この中であえて報じたのは、ニュースの中に「劇団員が死亡した問題が影響したとみられる」という言葉にあるように、一連の問題と関係づけたかったからでしょう。

宝塚音楽学校というと、試験の難しさと高倍率で話題となりますが、倍率が高くなったのは1970年代の「ベルサイユのばら」ブームが影響しています。それまでは10倍に満たないことも多かったようですが、ブーム後は、本格的に歌やバレエなどのレッスンをしていないけれど、記念に受験する、いわゆる「記念受験」も増えて、94年には48倍という高倍率を記録しました。記念受験で合格した中には女優の黒木瞳らがいます。

今年の受験者数、そして倍率は27日に明らかになります。ここ数年はコロナ禍のためホームページでの発表でしたが、今年は宝塚音楽学校での掲示が復活するのでしょうか。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)