CIAのすご腕エージェントだった主人公は引退後、レンガ職人としてつましく暮らしている。が、ある日、古巣から断り難いミッションを持ちかけられる。

欧州各地の反米テロをかつての相棒が主導しているというのだ。現地入りした彼はその裏にCIAの陰謀があることに気付いて…。

元FBI捜査官のポール・リンゼイが別名義で書いた「脅迫」が原作で、スパイ・アクション好きをくすぐる展開だ。ちょっと違和感のある「レンガ職人」の設定も後半効いてくる。

主演は「エンド・オブ・ホワイトハウス」(13年)でタフな大統領を演じたアーロン・エッカート。見るからに不屈の面構えだ。商売道具のコテを武器にする異色の格闘シーンにも意外なほど説得力がある。

同行の新米エージェント役のニーナ・ドブレフが魅力的で、武骨な主人公の意外な優しさを引き出す。

バリエーションに富んだアクションや、歴史的な街並みにもまるで遠慮がないカーチェイス、そして大規模な爆破シーン…。

レニー・ハーリン監督は「ダイ・ハード2」(90年)以来とも思える得意技の連発で、振り切った演出に留飲が下がる。【相原斎】

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