お笑いコンビ、見取り図がパーソナリティーを務めるTBSラジオの冠番組「スタンド・バイ・見取り図」(日曜午後11時)が4月から水曜深夜0時へ引っ越し、放送枠も30分から1時間へ拡大される。ボケのリリー(39)とツッコミの盛山晋太郎(38)のコンビは、18年から「M-1グランプリ」で3年連続決勝進出を果たすなど注目を集め、テレビ、ラジオと活躍の場を広げる。2人に今の思いを聞いた。【松尾幸之介】

★反響も大きく

引っ越しは2月末の番組内でサプライズ発表された。他の曜日の午前0時台には、空気階段、アルコ&ピース、ハライチら人気芸人の番組がズラリと並び、反響も大きいという。

盛山 結構な大きな枠なので困惑しました。

リリー 何人かに「すごいね」と言われました。

放送枠も拡大し、新コーナーなども期待される。2人の軽快なトークが人気のひとつだが、盛山は「正直ラジオは苦手」と口にし「公に苦手と言っているラジオDJはなかなかいないと思いますけど、新しい視点でみてもらえたら。現状、人気番組になる絵は想像できていないですけど(笑い)、そういうタイプで生きてきていないので。とはいいつつ人気になってほしいですけどね」と願った。

番組は同じ吉本興業所属の後輩、オズワルドの番組「ほら!ここがオズワルドさんち!」のあとを受ける形で始まる。盛山は決定後に職場の喫煙所で伊藤俊介(34)と遭遇し、当時は番組終了を知らなかったため会話こそなかったものの、伊藤からただならぬ雰囲気を感じたことをラジオでも明かしていた。

リリー あいつらもラジオやりたかったやろうしな…。

盛山 あれはきまずかったです。他の枠はすごいコンビばかりですし、明日はわが身だと思っています。

他番組もよくチェックするようになったという。

盛山 結構聴いてます。皆さんやっぱりおもしろい。(コンビの出方が)テレビと逆なんですよ。アルピー(アルコ&ピース)さんは酒井さん、雨上がり決死隊なら蛍原さん、三四郎の相田さんとか。テレビでの鬱憤(うっぷん)をラジオで晴らしながらやっている感じはありますよね。

デビューから大阪を拠点に活動していたが、18年からの「M-1グランプリ」での活躍を機に上京。「年間(東阪を)180往復していた」という生活を脱し、今では昨秋開始のTBS系バラエティー番組「ジョンソン」や朝の情報番組「ラヴィット」などレギュラー出演する番組も増えた。「ジョンソン」でも共演する、かまいたちをはじめ、千鳥ら同事務所の同じ上京組の先輩らの背中を追いかけ、立場も固まりつつある。今では後輩から目標に挙げられるようにもなった。

リリー そういう認識は全くないですけどね。もっと頑張らないと。

盛山 よく女優さんとかが「この芸人が好き」みたいなのを言ったりしますけど、僕らを挙げている人、1人も聞いたことないんですよ(笑い)。隠れてんのかな? 大体どのコンビにもいますよ、そういう人。早く出ておいで~と思っています。

★4組に選ばれ

同局が社運もかけて取り組む「ジョンソン」への思いも強い。05~13年に放送された「リンカーン」の後継番組で、当時はダウンタウン、さまぁ~ず、雨上がり決死隊、キャイ~ンの4組が出演。今回はかまいたち、モグライダー、ニューヨークと、番組を引っ張る新たな4組に選ばれた。

盛山 楽しくやらせてもらっています。(4組での)移動時間がめちゃくちゃ楽しくて。この前もゲストの菊地亜美さんがあっけにとられていました。こんなにおもしろい時間なのって。

リリー 芸人人生で間違いなく大きな仕事ですし、成功させたい。勝負な感じがしますよね。やっぱり「ジョンソン」はもっと見られたいです。

盛山 裏番組も強いんですけど、何とか人気番組にしたい。それは(4組で)おのおの感じているところはあると思います。

★極貧生活20代

メディア仕事も増える一方、劇場公演も大切にする。今年も単独ライブを予定しており、力を入れている。

盛山 やっぱり(チケットを買って)お金と時間をかけて劇場に来てくれる人を楽しませたい。一番感謝していますね。

リリー 劇場にも出ながら良いバランスで。漫才をきっかけにテレビにも出られるようになったのでどちらかだけにならずやっていきたい。

東京での活躍を目指す後輩たちへの思いも聞いた。

盛山 自分たちはそこまで上京を意識していたわけではなかったですけど、20代は地獄で食べられたらいいくらいの極貧生活。流れに身を任せていたら今みたいになりました。カメラとか趣味があって、クリエーター気質の芸人は東京の方が仕事につながりやすいんじゃないかな。

リリー 上京前は通いがしんどくて、東京にいる時間が落ち着かなかったですね。ずっとホテルで、寝る瞬間までアウェーにいる感じ。今は家もあって、精神的に少し変わりました。M-1がなかったら東京にも来てなかった。M-1の活躍があったから東京でもなめられないようになりましたし、スタッフさんも安心して評価してもらえている感じです。

★保安検査場?

盛山はM-1後の世界を空港の保安検査場にも例えた。

盛山 M-1は年数制限、空港も時間締め切りがあって、めっちゃ似てます。それぞれ搭乗口はバラバラだけど、とりあえず芸能界という空港のロビーに入れてもらった感じ。できるもんならまた出たいですし、優勝したかった。でも、優勝して漫才してると思うと、今頃(プレッシャーで)つぶれてたかもしれんな。

今後の目標も聞いた。盛山は未経験者ながらサッカー同好会『もりちゃんずユナイテッド』も結成している。

盛山 (サッカー番組のMC就任を掲げ)「やべっちFC」の“ハーイ、やべっち”みたいな感じで“ハーイ、もりちゃん”って言われたいですね。

リリー 今、劇場に出ている師匠とかを見ても昔はテレビでめちゃくちゃ人気だったっていう話を聞くんですよ。なので1度はその次元にいきたい。ステージに出て行った時に、もっといろんな世代の方に喜んでもらえるような芸人になりたいです。

「スタンド・バイ・見取り図」の枠移動後、初回放送は4月3日だ。

盛山 最初はお手並み拝見ということで普段聴いていない人も聴くと思います。ぜひお手柔らかに。ひ孫がやっていると思って聴いてほしい。

リリー 優しい目で見てください。頑張っていきますので!

▼「スタンド・バイ・見取り図」岩崎友明プロデューサー(31)

トークのおもしろさはもちろん、制作側主導での企画などにも前向きに取り組んでくれる、そうした姿勢が編成にも伝わり今回の枠移動につながったのではないかと思います。2人の人柄の良さは一緒に働いた人なら誰しも感じていると思います。若い番組なので不安はあると思いますが、強いコーナーを作り、素の部分を引き出せるよう、こちらも頑張ります。

◆見取り図

リリー 1984年(昭59)6月2日、岡山県和気郡生まれ。盛山晋太郎(もりやま・しんたろう)1986年(昭61)1月9日、堺市生まれ。ともにNSC大阪校29期生で07年5月結成。リリーがボケ、盛山がツッコミ担当で、しゃべくり漫才やコントも得意とする。22年春に拠点を東京へ。地上波レギュラー番組は「ジョンソン」「ラヴィット」(水曜日)のほか、テレビ朝日系「1泊家族」「見取り図じゃん」など。

◆「スタンド・バイ・見取り図」

22年10月に見取り図がパーソナリティーを務めるTBSラジオのPodcast番組としてレギュラー放送を開始。23年4月から日曜午後11時からの30分番組へ昇格。24年4月から1時間枠で水曜深夜0時開始へ移動した。

TBSラジオ「スタンド・バイ・見取り図」番組プロデューサー岩崎友明さん
TBSラジオ「スタンド・バイ・見取り図」番組プロデューサー岩崎友明さん