歌手さだまさし(70)が設立した公益財団法人「風に立つライオン基金」は28日、都内で会見し、「風に立つライオン・オブ・ザ・イヤー」の新設を発表した。

同財団はこれまでも、海外での医療や公衆衛生の慈善活動に従事している日本の団体への助成や、大規模災害の被災地への支援、高校生ボランティア活動の顕彰などに取り組んできた。

風に立つライオン・オブ・ザ・イヤーは、支援活動を行う個人や団体を表彰することで、より多くの支援、協力が集まり、活動がさらに発展することを期待しているという。賞は柴田紘一郎賞と鎌田實賞(それぞれ副賞200万円)奨励賞(副賞10万円)で、来年10月の表彰を目指す。

さだは「頑張っている人を知らしめたいと思いやってきました。国内では毎年、大災害が起こり、被災地支援にも体力を使ってきました」とした上で「基金を始めて8年目。慈善活動を多くの人に知らしめることで、勇気や共感を与えることができるのではないかと思い、顕彰事業を始めたい」と説明した。副賞は200万円だが、さだは「500万円を贈呈できる体力がまだないという、事務局の冷静な判断です」とも語った。

さだの楽曲「風に立つライオン」は、ケニアの長崎大学熱帯医学研究所で医療活動に従事した柴田紘一郎医師をモデルに作られた。その後、映画化を熱望されさだが原作の小説を執筆。大沢たかお主演の映画ロケでケニアを訪れた際、さだは、現地で障害をもつ子どもたちの療育支援を行う日本人小児科医師、公文和子さんと出会った。献身的な活動を行う日本人をサポートしたいという思いが募り、基金設立のきっかけとなったという。

アーティストが寄付を行ったり、チャリティー公演を行うケースは多い。だが、さだの場合は自ら基金を設立し、継続的な支援を行っている。さだは「使い道を明確にすることが大切だと思う」と強調する。「噴火災害に見舞われた宮崎・都城市にコンサートで集まった寄付を届けに行きました。その時に、東日本大震災の後だったので、市長さんが、避難所の空調施設に使いますと明言されました。その時、使い道がわかることで、ふに落ちたんです。だから、使い道をあいまいにしない。私どもの基金では、このように使っていると発表しています。どう使われるのか信頼されることが大切で、どう生かされるか寄付される方が納得できるかが大切です」と語った。