花組トップ柚香光、トップ娘役星風まどかが24日、退団公演「ミュージカル『アルカンシェル』~パリに架かる虹~」の兵庫・宝塚大劇場公演千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。
サヨナラショーは、柚香のソロで、代表作のひとつ「はいからさんが通る」の軍服姿で幕開け。星風とのデュエット、次期トップ永久輝せあとのナンバーも披露した。柚香らは、今作東京宝塚劇場千秋楽の5月26日をもって退団する。
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サヨナラショーは軍服姿の伊集院忍で幕開けた。星風とのダンサー・コンビならではのデュエット、永久輝とは「二人だけの戦場」から「理想の為に」を歌い、セリフの掛け合いも。革コートを脱ぎ、永久輝に渡してがっちり握手。黒えんび姿になり、大階段から男役を率いた群舞に臨んだ。
最後の大階段も男役の象徴である黒えんびを選んだ。同期からの花を渡した専科の水美舞斗とは抱擁し、あいさつした。
「上り坂下り坂、ぬかるみのような道もあり、なかなか進めない日もありました。けれどもその道中、たくさんの絶景が待っていました」。感極まったような表情も見せ、続けた。
「大好きな景色。お客さまのキラキラとした目、見渡す限りの絶景。お客さまが笑顔になり、私の足取りも軽くなりました。こんなにも幸せな景色ならば、なんの悔いも残りません。この絶景を一生忘れません」
言葉を強めて、ファンへ、仲間へ、そして本拠地へ思いの丈を投げた。
サヨナラショーに先だったメッセージでは、前トップ明日海りおと最後の共演作で背を押された場面を振り返り「あの重みを忘れません」。自らがバトンを渡す永久輝には「花組に来る前から一緒に仕事をしたいと思っていた」と信頼を寄せる思いを語っていた。
仲間、ファンとの絆に感謝。「花組サイコーッ!」の言葉とともに、客席とも一体となった花組ポーズも披露した。今作は宝塚公演を終え、東京宝塚劇場千秋楽の5月26日をもって退団する。【村上久美子】
▼退団公演タイトルに入る「虹」。柚香は、今作稽古が始まった当時、星風と散歩をしていると、虹を見たという。「なんだか天候の神様から応援していただいているような気がしました」。宝塚大劇場初日にも虹がかかったといい、24日千秋楽にも期待したが「天気予報を気にしていたら雨でした」と笑わせていた。
■柚香光 一問一答
宝塚千秋楽後には、柚香が記者会見に臨んだ。
-最後の衣装に黒えんびを選んだ理由は
柚香 男役の正装。飾りのない黒えんび、この衣装が大好きでして。
-最後の大階段を下りた時の気持ちは
柚香 何にも変えがたい、特別な空間。お客さまの思いを強く感じ、本当にありがたかった。
-涙が出そうになった瞬間は
柚香 涙がこみ上げるというよりは、本当に心に刻んで、焼きつけておこうと。今日も全てがいとおしくて、ありがたくて。凝縮して持って帰りたいような。
-大劇場最後の日、どんな気持ちで劇場入りを?
柚香 今日の朝はなんだかすごく幸せな気持ちでした。自分の周りが「ありがとう」に満ちていて。お客さまへの感謝の気持ちと、関わってくださった皆さまへの思いがあふれて。
-最後のあいさつを終えて、今の気持ちは
柚香 無事に終わって、ホッとしています。あの空間、時間を抱きしめたい。
-あらためて、宝塚大劇場への思いを
柚香 本当に青春の全てをささげ、あまりにも思い出が詰まっている場所。「柚香光」を作っていただいた場所でもあります。
-永久輝さんと握手する場面もあったが
柚香 彼女が仲間と作る花組が楽しみ。卒業した後は、お客さまと一緒に、花組を応援していきたい。