大粒の汗を流し、着実に歩みを進めた。ドラフト4位百崎蒼生内野手(18=東海大熊本星翔)が、4月29日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(鳴尾浜)で公式戦デビューを果たした。3月7日の練習でシートノックの際に右肩を痛め、別メニュー調整となっていた。約2カ月間、鳴尾浜でランニングや下半身強化のトレーニングに励んできた。この日は代走での出場で、守備は肩の状態を確認しながら再開する予定だ。

「焦らずに、この期間を大事にできれば」。地道なトレーニングにも百崎は前を向いた。はじめはノースロー調整から徐々にキャッチボールの距離を伸ばした。そのほかにも遊撃や二塁でのゴロ捕球に、打撃練習、ランニングに短距離ダッシュ、ウエートトレーニングなど連日、朝から夕方までメニューをこなした。

走りきると倒れ込むほどハードな練習。それでも気持ちは切らさない。ポール間を走るランニングメニューでは「大体30(秒)なんですけど、自分で28とかにして」と自らを追い込んだ。4月半ばに入ると、三塁でノックを受け、二塁へ送球する姿も見られるようになった。痛みが再発する怖さもある中、できることを続けた。

打撃練習に大きな影響はなかった。3月23日の甲子園室内での練習ではマシン打撃に入り、高卒5年目の井上広大外野手(22)からアドバイスを受けた。「振った後のブレをなくしていけば打球の質も高くなってくる、というのは言われてからずっと意識しています」。高校通算39本塁打の右の強打者は先輩の言葉に刺激を受けた。コーチ陣やトレーナーと練習を続ける中で「打球が強くなってきているのは感じる」と手応えをつかみ始めている。

下半身を徹底的に鍛えた18歳。「少し体力がついた。守備でも高さ変わらなく守れたり。これからも継続的にやっていければと思います」。ウエスタン・リーグ開幕から1カ月以上がたち、公式戦デビュー。試合に出られない期間も「出遅れてはいるんですけど、マイナスなイメージでは捉えてない。良い時間になってるかなと思います」と前向きな言葉を続けた。

いつかこの時間があったからこそと言えるようにー。猛虎打線に欠かせぬ存在になるべく、百崎は足元を固める。【村松万里子】