阪神対中日 2回裏阪神1死一、三塁、大野は中野に四球を与え痛恨の表情(撮影・加藤哉)
阪神対中日 2回裏阪神1死一、三塁、大野は中野に四球を与え痛恨の表情(撮影・加藤哉)

2回でほぼ勝負は決まった。「ミスをした方が負ける」という典型的な試合だった。

中日は攻撃では(1)2回表、上林が飛び出しアウト。守りでは(2)1回裏に大野が先頭へ四球。(3)2回裏も先頭へ四球。(4)無死満塁となり、大野が大竹のゴロをはじく適時内野安打。2番手の梅野が許した(5)森下の適時打(6)大山の犠飛(7)佐藤輝の適時打は、いずれもコントロールミス。さらに(8)三塁カリステがタイムリーエラー。2回までで計8つもミスを重ねた。対する阪神は、これといったミスはなかった。2回で2-8と大差がついたのも当然だ。

一方的になったが、2回表に中日が一時逆転するまでは見応えのある攻防だった。中日は先頭からの3連打に内野ゴロで2点を奪う。走者を進塁させようと、各打者が右方向を意識。一方で、阪神バッテリーは右には打たせまいという配球。お互いの意図がぶつかり合っていた。しのぎ合いで最後に上回った方が勝つ。そう思って見ていた。

均衡を崩したのは、冒頭で挙げた上林の飛び出しアウトだ((1))。2-1と逆転し、なお1死二塁。大野の投ゴロに二塁走者の上林は飛び出してしまい、二、三塁間で挟殺された。たらればになるが、二塁に残っていれば続く岡林のヒットで3点目のホームを踏んでいただろう。ミスで攻撃の流れを手放したことで、裏の大量失点を招いた。

ミスの質も見逃せない。ヒットを打つ、打たないはしょうがないし、技術的なミスは起きるもの。ただ、判断ミスは防ごうと思えば防げる。投手正面の当たりに、二塁走者は飛び出してはいけない。もちろん、上林も分かっているはず。それでもミスを犯した以上、意識が低いと言うしかない。大野がはじいたプレー((4))も、捕球ミスではなく判断ミス。無理に捕りに行く必要はなかった。内野のポジショニングを頭に入れておけば、二塁田中に処理を任せ、二-捕-一の併殺の可能性があった。

阪神は中日のミスに付け込み得点を重ねたが、初回の先制点にはチーム力が表れていた。先頭四球のあと、2番中野が3ボールから2球続けてバントの構えから見逃した。おそらく「待て」のサインだったのだろう。フルカウントとなり、ランエンドヒットで二ゴロ。送った形で1死二塁とし、1点につなげた。ベンチの意図を選手が細かい点まで理解している。開幕当初は苦しんだが、状態は上向き。日本一チームが通常運行になった。(日刊スポーツ評論家)

阪神対中日 2回裏阪神無死一、二塁、大野(手前)は木浪に右前打を打たれ下を向く(撮影・上山淳一)
阪神対中日 2回裏阪神無死一、二塁、大野(手前)は木浪に右前打を打たれ下を向く(撮影・上山淳一)